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これからのRRJ
最後に、これからのRRJについて伺えればと思います。 これからRRJが変化していくこともあると思いますが、それでも変わらず残っていってほしいものはありますか。
「未来の宿題は未来の人のもの」だと思うんです。だから、僕がちゃんとするべきなのは「50年」の話まで。そこから先を担うのは、次の小川社長だと決まっている。 そう考えたとき、僕は「これを残したい」と思ってもらえる領域が多い会社にしようと思っています。 それしかないんですよね。
いいところもあるけど、僕の考え方と小川社長の考え方は、もちろん違って当たり前で。 たとえば「会社が目立ったほうがいいか、目立たないほうがいいか」。 小川君は目立ったほうがいいタイプ。僕は目立たないほうがいいタイプなんです。
これは理由が明確にあって。 黎明期、本当に最初の頃は、周りは敵だらけ。何か事業を起こすとき、自分たちが目立つと、情報を相手に与えることになってしまう。 それを避けるために水面下で進めて、表に出したときにはすでに全部の仕込みが終わっている、という状態を作りたい。 だから目立たないようにしてきたし、これからも、そこは僕のやり方としては変わらないかなと思う。
違いも出てきているなかで、それを僕はなるべく認めていくつもりです。 その代わり、「これは残したいね」というタネは、いっぱい今のうちに作っておいて、なるべく否定されたくないな、という感じでやっていこうと思っています(笑)
タネを作っておいて、何を選ぶかは小川さん、というスタンスなんですね。 今お話を伺っていた、仲間や人との距離感、一緒にやっていく感覚は、小川さんや後の世代が代表になったとしても、残っていってほしいなと、個人的には思います。
それは絶対に残る。そういう意味で「絶対に残るところ」を挙げると、おそらくこの人間関係の構築の仕方は、絶対に残ると思います。 それで僕らはご飯を食べてきていますから。 あと、終身雇用は残してほしいけどね。そこを捨てる企業だと、先々ちょっと不安かなと思っているので。
「不安があるから辞める」というお話も、さっき少し出ていました。
そうなんです。不安があるから、みんな会社を辞めたりする。 不満もあるけど、不安もあると思う。 「この会社、大丈夫かな」という。 だから、これも今のうちにちゃんと潰しておこうと思うんですけど——今、23期目に入りましたよね。 22期の決算が終わっている。うち、赤字だったのは2期だけです。それ以外は全部黒字。直近はずっと黒字です。 最初の赤字は第0期の赤字。もう1期は、わざと赤字にしたことがある。
わざと、赤字にするってどういうことですか……?
これは、僕が経営者として「赤字経営を経験したことがないのは良くない」と思って(笑) 経費を使う、攻めの経営をやったんですよね。 でも、そこからずっと後悔している。社会的信用が著しく下がるんですよ。 他の人は家のローンを組んだり車を買ったり普通にできるのに、僕はその赤字経営をした時期に、200万円の車のローンが落ちた。「本当に信用って下がるんだ」と……。
だから、それで赤字経営は二度としないと思っていて(笑)今はほぼ無借金経営です。
「無借金経営はバカだ」という風潮が今あるんですよ。でも僕は「何言ってんねん」と正直思っている。 お金は実際に今借りています。これも事実としてお伝えしておくと。 今は、株式や金融商品で運用したほうが、金利よりも儲かるという考え方が広がっているから、「お金を借りて投資信託を買って儲けなさい」という発想をする人がいる。 でも、経営者が会社のお金でそれをやると、ギャンブルになるだけです。絶対に上がっていく保証もない。 リーマンショック、コロナと、いろんな危険を僕らは22年のなかで経験してきて、ガーンと落ちる瞬間を何回も見てきた。
決算書も財務も、現時点で大丈夫ですし、22期も黒字なので、はっきり言って現時点では、ひとまず大丈夫、という感じです。
安心して働けるというのも、RRJの強みかもしれないですね。普段、経営のことを伺う機会がないので、ありがたいです。
たまに従業員から「決算書を見せてください」と言われるんですけど、断っています。 なぜかというと、話すのは構わないんだけれど、役員の報酬額が見えるのが嫌だというポイントも一つある。 それだけじゃなくて、「じゃあこの赤字は何ですか」と言われる筋合いがない。 一緒に経営責任を負う覚悟があるならいいんですけど、うちは上場企業じゃないからね。 その代わり「ちゃんとやっているよ」とは伝えるけど、「証拠は」と言われても、もう「信じて」としか言えない。
そこも、仲間というか、信頼関係があってこそですね。それが「安心して働けます」ということ。私の感覚では結構伝わっているかなと思います。
そういう環境にしていきたいなと思っています。
50年という話がありましたが、今後のRRJを想像したとき、どんな会社になっていたら嬉しいですか。
僕は「発展したい」と言うんじゃなくて、「時代の変化に合わせてサバイバルしていく会社」だと思っているんです。生き残っていく会社でありたい。
ここで言う「生き残る」とは、従業員に給料がちゃんと払えていて、税金も納められていて、財務が健全な状態であることです。これを守りたい。そういう企業でありたい。
「生き残る」。地味なようで、力強い言葉ですね。
地味に聞こえることって、むちゃくちゃ強いんですよね。 僕は、そんなにかっこいいことを言ってこなかったと思います。 でも、地味に聞こえる言葉こそ、積み重ねることの大事さを知っている人が言うべきだと思っているんです。
とにかく、企業として当たり前のことをやり続ける。 そして余力が出たら、従業員にもちろん還元するけれど、社会にもちょっとだけ還元しようぜ、と言っている。 それがペットの里親活動であったり、震災が起きるたびに僕らは寄付したり。会社も社会の一部なので、社会にもちゃんと還元する。
納税だけじゃない還元の仕方をして、それを堂々と言いましょう、と言っていて。 偽善でもいいじゃん、と。「やったよ」と言わないと伝わらないから、SNSで言う。 それを見て、「自分もやろう」という人が一人でも増えると、社会はちょっと良くなる。 自分たちの人生もちょっと良くなるし、ちょっとだけ誇りも持てる。そういう発想や考え方を持って、50年後もずっと続いていってもらいたい、というのがあります。
それもRRJらしさにつながるところかなと思います。 RRJのXを見ると、里親活動や農業体験など、仕事だけではない取り組みも行っている印象があります。 なんだろうな……(言葉に詰まる)それが、RRJらしさの一つでもあるかなと思います。
その「なんだろうな」という、萌香さんが言った言葉が、めっちゃ大事なんです。 これが「成長の余白」だと思います。 うちの会社も、なんかよくわからないし、言葉だけでは伝わらないし、「なんかやってんだよな」みたいな。 そこを、うまくいい言葉を当てはめるよりも、「なんだろうな」という余白があるじゃないですか。 「何やってんの、この会社」みたいな。それがやっぱり面白い。 お客さんにも「いろんなことやってますね」と言ってもらえる。 事業の話をしても、「なんなんだろう」と思われる。
確かに。その「なんだろうな」という余白が、RRJらしさなのかもしれないですね。
豊かさの指標の一つに「多様性」というものがあって。 これは僕が大学時代に学んだことの一つなんですけど、「地域自立の経済学」を学んでいて、「循環性・多様性・関係性」、この三つのキーワードで物事を考えておきましょう、というのがあるんです。 その多様性が、豊かさの指標である、と。切り口がどう変わっても「いろんなことやってますね」と言われる、それが本当に多様性だと思う。
その多様性を持っていれば、世の中がちょっと変わったときに「別の側面から攻めます」と変わっていける。アジャストできる。 いろんな側面を持っていると、正面から見える部分と見えない部分がある。 だけど、その見えない部分にこそ、確固たる何かがちゃんとあるから即応できる。
そうですね。「なんだろう」は、その確固たる裏付けがちゃんとあるからこそ、成立しているんですよね。私もRRJらしさって何だろう?と会長に聞いてみたくてインタビューをまとめていったのですが、結局、「なんだろう」という余白こそがRRJらしさなんだなと納得しました(笑)
うん。100%理解されたら負け、というわけではないけれど。まぁ、そうだね(笑)。
確かに。わからないからこそ、面白みがありますよね。
「システム会社」と言いながら、グッズを作っていたり、オーディオブックを作っていたり。そういう側面。 「なんでも言語化して、説明しなさい」という風潮があるなかで、そういう余白は大事だなと思います。
人に接するときも、その余白がめっちゃ大事で。評価するとき、役員にはこう言っています。 「今、良くないよね」という人がいたとき、「これは現時点での評価でしかないからね」と。 時間が経つにつれて、その人の成長の余白は必ず出てくる。それが出たときに、すごい人に変わることがある。 だから「時間をかけなさい」と。 その温かみ、懐の深さも、うちの会社は持っている。 時流が変わったときに、その人の良さが出てくる。そこにも「人の余白」があります。
仕事でAIを使っていると、人間らしい余白がなくて窮屈に感じることもあります。 うちはシステム会社ですが、AIには作り出せないような余白も、大切にしていけたら素敵だなと思います。
本当に、素敵です。
僕は「発展したい」と言うんじゃなくて、「時代の変化に合わせてサバイバルしていく会社」だと思っているんです。生き残っていく会社でありたい。